安全な夜間運転のコツとは。視界を確保するためのポイント
昼間と違って、暗い夜間での運転は多くの危険が潜んでいます。
交通事故のリスクも高く、その死亡率・重傷率も高くなっている夜間の運転。
安全に運転するためには、どのようなことに注意したら良いのでしょうか。
この記事では、昼間の運転と夜間の運転の違いや、安全な夜間運転のポイントについて解説していきます。
夜間に歩行者の交通死亡事故が多い
国土交通省が公表した「令和5年交通安全白書」の「昼夜別・状態別交通事故死者数及び重症者数」のデータを見ると、夜間には歩行者の死亡事故が昼間の2倍近く多いことがわかります。
交通事故率で言えば昼間の方が多いものの、死亡事故率(交通事故全体における死亡事故の割合)は、夜間の方が昼間の約2.9倍となっており、夜間の交通事故は死亡率が高い傾向があります。
昼間の運転と夜間運転の違い
なぜ、昼間の運転より夜間の運転の方が重大な事故につながりやすいのでしょうか。
それは以下の4つの点で、昼間の運転とは条件や状況が大きく異なるためです。
- 昼間よりも暗いため判断が遅れがち
- 昼間よりもスピードが出やすい
- 対向車のヘッドライトなどで目が眩みやすい
- グレア現象により歩行者が見えなくなってしまうことがある
それぞれどのように異なるのか、くわしく見ていきましょう。
昼間よりも暗いため判断が遅れがち
夜間は、昼間よりも暗くなり、街灯や車のヘッドライトのみに視界が絞られます。
結果として、危険の発見が遅れがちになります。
特に、田舎道などで街灯の灯りが少なくなると、視界は車のヘッドライトに頼らざるを得ません。
そのため、前方にいる歩行者はもちろん、左右にいる歩行者や自転車に気づきづらくなってしまうのです。
また、交差点における飛び出しや、横断歩道ではないところでの道路横断など、予測できない危険に反応しにくくなり、判断が遅れます。
気づいた時にはブレーキを踏んでも間に合わない距離だった、あるいは右左折時に巻き込んでしまった、などが原因で事故が起きることも多くあります。
真っ暗ではない夕暮れ時も同様の事故が多い傾向にあるため、注意が必要です。
まだライトを点けなくても大丈夫だろう、と思って油断していると、歩行者の発見が遅れ、事故につながりやすくなってしまいます。
昼間よりもスピードが出やすい
夜間の暗がりの中では、周りの景色がゆっくりと後方に流れていくように見えます。
そのため、スピード感が鈍くなり、気がついたら思ったより速いスピードで走っていることが往々にして起きやすくなります。
また、交通量も少なくなるため、スピードを上げて走る車も多くなりがちです。
スピードが速ければ速いほど、事故を起こした時に衝撃が大きくなり、死亡事故や重大な事故につながりやすくなります。
たとえば、時速40㎞では、ブレーキを踏んでから車が止まるまでの距離は22mですが、自足80㎞だと、77mもかかってしまいます。
したがって、夜間ならではの判断の遅れもあり、スピードが出ていると、歩行者を発見して急ブレーキを踏んでも、間に合わないことが多いのです。
対向車のヘッドライトなどで目が眩みやすい
ちょっと田舎道に入ると、街灯や他の灯りがないため、ハイビームを使って視界を確保する車が多くなります。
そのため、対向車のヘッドライトで目が眩み、一瞬目の前が見えなくなってしまうことがあります。
グレア現象により歩行者が見えなくなってしまうことがある
グレア(蒸発)現象とは、自分の車と対向車のヘッドライトが重なり合うことで、お互いの光が反射し合い、センターライン付近にいる歩行者などが見えなくなってしまう現象のことです。
特に、市街地の交差点などにおいては、右折しようとしている対向車のヘッドライトがこちらを向いた瞬間に、横断歩道などを渡っている歩行者が見えなくなることがあります。
歩行者の方は、ヘッドライトが自分に当たっているため、車からも見えていると思っていて、歩行を続けてしまいます。
一方で、車の方は直前にならないと歩行者が見えず、ほぼノーブレーキで衝突してしまうため、死亡事故や重大な事故につながりやすいのです。
雨の日は、特にグレア現象が起こりやすいと言われており、センターラインや道路標識も見えにくくなるため、要注意です。
安全に夜間運転をする際のポイント
夜間の運転は危険が多いですが、安全運転ができないわけではありません。
安全な夜間運転をするための6つのポイントをいくつかご紹介します。
これらに注意するようにしましょう。
スピードを出さない
夜間は交通量も少なく、スピードを感じにくいため、昼間よりもスピードが出てしまう傾向があります。。
常にスピードメーターを確認しながら、スピードを出さないように心がけましょう。
スピードが速ければ速いほど、止まるまでの距離が長くなります。
特に市街地では、いつどこから人が出てくるかわかりません。
制限速度を守り、安全なスピードで運転するようにしましょう。
ロービームとハイビームを使い分けて視界を確保する
道路交通法では、夜間の走行は「原則ハイビーム」と決められています。
しかし、街灯やネオンや家の灯りが多い市街地では、ロービームとハイビームをうまく使い分けるようにしましょう。
市街地でハイビームを使うと、対向車や前の車の視界を奪ってしまうことがあります。
逆に、街灯などのない田舎道では、ハイビームを使って視界を広げましょう。
暗い道でロービームしか使っていないと、歩行者に直前まで気づかない危険性があります。
ロービームの照射距離は40m程度なので、時速60㎞で走行した場合の急ブレーキから停止するまでの距離44mに届きません。
周囲の環境によってロービームとハイビームを使い分け、視界を確保しましょう。
右折時のグレア現象には特に注意する
右折時は、対向車のヘッドライトと反射し合って、グレア現象が起きる可能性が高いです。
特に、横断歩道がある交差点では、歩行者が渡っている可能性があるので、充分に減速し他状態で右折に入りましょう。
薄暗くなってきた時からライトは点けておく
夕暮れ時も事故率が高くなります。
まだ見えると思って油断しないで、日が沈んで薄暗くなってきたら、早めにライトを点けるようにしましょう。
薄暗い中では、黒っぽい洋服を着た歩行者が見分けにくいので、注意が必要です。
十分な車間距離を取る
前の車に近づきすぎると、前の車のバックミラーに自分の車のヘッドライトが反射して、眩しく感じてしまいます。
また、夜間は視界が悪く、前方の距離感がつかみにくいため、近づき過ぎていると、前の車の急ブレーキにとっさに反応できないことがあります。
したがって、昼間よりも車間距離は長く取るようにこころがけましょう。
歩行者がいるかもしれない運転を心がける
市街地や住宅地では、常に「歩行者がいるかもしれない」と思って運転しましょう。
夜は、酔っぱらってフラフラ歩いている人もいますし、黒い服を着て散歩している人もいます。
高齢者が、横断歩道がない道路をこちらに気づかない状態で堂々と渡ってくるかもしれませんし、曲がり角から急に人が飛び出してくるかもしれません。
このように、常に歩行者がいることを念頭に置いて運転するようにしましょう。
夜間は視界の確保と、昼間以上に「かもしれない」運転を心がけよう!
昼間の運転と夜間の運転の違いや、夜間に安全に運転するためのポイントを解説しました。
夜間は、暗くて見通しが悪くなり、視界が狭くなります。
ロービームとハイビームの使い分けで視界を確保し、常に「歩行者がいるかもしれない」ということを頭において、安全なスピードで運転するようにしましょう。
また、「夜間にわざわざ運転しないようにする」というのも一つの方法です。