企業向けのドライバー講習・研修は何をするのか?導入メリットや費用相場について解説
企業にとって、業務中の社員による交通事故が発生すると、車の修理代や慰謝料などの金銭的な損害だけでなく、社会的なイメージダウン・社会的信用の失墜と、それに伴う顧客離れと減益など、計り知れない損害を被ることになります。
公共交通安全を守ることは、企業そのものとともに自社の従業員やその家族を守ることにもなり、業務中のリスクマネジメントと安全行動の徹底は、必要不可欠です。
また、昨今、「企業の社会への影響に対する責任」(=CSR)が重要視されてきており、安全運転教育は、企業にとって必須のものとなっています。
この記事では、企業向けのドライバー講習の目的と内容、費用相場、導入メリットなどについて解説していきます。
企業向けのドライバー講習・研修とは
企業向けのドライバー講習とは、自動車学校や教習所で行われる、企業ドライバー向けの講習や研修のことです。
内容は、どこもだいたい同じようなものを行っていますが、その企業それぞれのニーズに合わせて、オリジナルのカリキュラムを実施しているところもあります。
自社の従業員に最適なドライバー講習を実施している教習所を探しましょう。
企業向けのドライバー講習の目的
企業向けのドライバー講習の目的は、主に以下の3つです。
- 社用車での事故のリスクを低減する
- 社員一人ひとりの安全運転意識を高め、労働意欲の向上を図る
- 企業の社会的責任やコンプライアンスを高める
これらの目的を達成するため、安全運転のプロである教習所の指導員が、従業員に講習をします。
企業向けのドライバー講習の内容
企業向けドライバー講習の内容は、主に以下の3つです。
- 運転適性検査
- 安全運転講習(座学)
- 実技講習
一つひとつ詳しく見ていきましょう。
運転適性検査
運転適性検査は、「OD式安全性テスト」という心理検査を使って、運転に影響しやすい個人の特性を、科学的に測定し、分類するものです。
検査結果から、「状況判断力」、「運転行動の内容」、「精神安定度」の3つを分析し、自分の個性や運転する際のクセなどを診断します。
この検査結果に基づいて、指導員が個々にアドバイスを行います。
安全運転講習(座学)
安全運転についての知識を高めるため、道路交通法や車両特性、安全運転のルールとマナー、危険予測などについて、解説していきます。
道路交通法は、改正の頻度も高いため、常に新しい知識を学ぶことが必要です。
法令に詳しい教習所の指導員が、基礎的な部分から丁寧に指導します。
また、職種によって、バスやタクシー、トラックやトレーラーの場合は、その車両に特化して学ぶことも可能です。
企業の求める要望によって、柔軟に対応します。
実技講習
実技講習は、教習所の場内で行う場合と、路上で行う場合があります。
場内では、指導員が同乗して、運転の準備、発進と停止、進路変更、右左折、安全確認の方法など、基本的な運転操作と、バック駐車や縦列駐車などを行い、運転者のクセをつかみ、それを修正していけるよう指導します。
特に事故惹起者の場合は、念入りに行い、丁寧にアドバイスをすることが必要です。
路上教習では、道路状況に合わせて実践的な運転を行い、危険予測などを実践的に指導します。
バスやトラックなど、特殊な車両の場合は、その車両を使っての運転になります。
企業向けのドライバー講習の費用相場
企業向けのドライバー講習の費用相場は、だいたい一人につき2時間12,000円〜です。
2時間コースから8時間コースまであり、新人研修は3〜4時間、一般社員は2〜3時間、事故惹起者は3〜6時間、運転指導者は6〜8時間の研修となっています。
企業向けのドライバー講習の導入メリット
企業向けのドライバー講習の導入メリットは、以下の5つです。
- 事故による企業イメージダウンのリスク低減
- 事故処理にかかる金銭的損害、時間的コストの削減
- 企業内での安全運転意識の向上
- 安全運転を続けることによる経費節約
- 企業として安全運転に取り組んでいる姿勢をアピール可能
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1:事故による企業イメージダウンのリスク低減
従業員が交通事故を起こすと、その企業のイメージダウンにつながります。
イメージダウンだけでなく、取引先に行けなかったことによる信用の失墜や、信頼関係の喪失、果ては銀行からの融資を断られるなど、その損失は計り知れません。
安全運転講習を従業員に義務付けることにより、交通事故が減れば、そうしたリスクを軽減できます。
メリット2:事故処理にかかる金銭的損害、時間的コストの削減
一度交通事故を起こすと、損傷を受けた車両の修理代をはじめ、損害賠償や慰謝料、さらに事故対応にかかわる人件費など、様々な金銭的損害を受けます。
また、事故処理にかかる時間的コストも免れません。
安全運転講習を受けることで、こういったコストも削減できます。
メリット3:企業内での安全運転意識の向上
企業向けの安全運転講習は、その企業内全体での安全運転意識を高める上で重要です。
一人でも講習を受けることで効果は出ますが、できれば複数人受けるといいでしょう。
複数人が安全運転を心がけることで、他の人の意識も変わってきます。
管理者や車両責任者が講習を受ければ、それが部下にも伝わるので、さらに効果を期待できます。
メリット4:安全運転を続けることによる経費節約
自動車保険は、等級によって保険料が変わります。
長く事故を起こさないでいれば、その分毎年保険料がどんどん安くなるのです。
つまり、大幅な経費節約になります。
また、安全運転をしていれば、燃費も自然と向上するため、ガソリン代の節約にもなるでしょう。
メリット5:企業として安全運転に取り組んでいる姿勢をアピール可能
安全運転講習を受けることで、企業全体が「安全運転に取り組んでいる」という姿勢をアピールすることが可能です。
安全運転講習を受けることは、企業のCSRのアピールになり、ブランドイメージの向上にも繋がります。
特に、横断歩道で歩行者に道を譲るなど、歩行者目線での安全運転を心がけることで、企業のイメージも良くなります。
企業向けのドライバー講習でCSRを高めよう!
ここまで、企業向けの安全運転講習の内容や費用相場、導入するメリットについて解説してきました。
従業員が交通事故を起こすと、直接的な金銭的損害だけでなく、取引先の信用や企業のブランドイメージまでも損なってしまいます。
企業向けの安全運転講習を行うことで、交通事故を未然に防ぎ、企業ドライバーとしての安全運転意識を向上させることが重要です。
しかも、これは一度きりではなく、年に一回など定期的に受けることで、より安全運転意識が高まっていきます。
企業としてのCSRを高めたい場合は、定期的に安全運転講習を実施することをおすすめします。